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​●あんたとキミの一番の人

■あらすじ
 好きな男の子が自分へなんの相談もなしに美術部へ入った上に知らない女の子たちと中よさそうにしているのでモヤモヤして屋上へ呼び出しちゃう女の子なのでした

 

■キャラ紹介
・女の子
 ツンデレ系。
 男の子と幼馴染。
 最近男の子が勝手に部活に入っちゃって話す時間が減って寂しい
 部活で他の女の子と仲良くしているらしいのでとてもヤキモチな感じ
 
・男の子
 おどおど系。
 女の子と幼馴染。
 高校生になってから幼馴染の女の子くらいしか親しく話す子が居なかった
 幼馴染の女の子の周りの人たちはイケイケな人ばっかりなので、自分が話してると幼馴染の女の子が孤立しちゃうかもって思って頑張って美術部に入ってみた
 最近は部活も楽しくなってきた
 夏のコンクールなどの大きな大会で賞とか取ったら胸を張ってまた女の子と仲良くしたい気持ちだった
 急に女の子に呼び出されて怖い

 

■備考

 Vライバーのあすかさん(アカウント名@asukachanhahima URL:https://twitter.com/asukachanhahima)​からご依頼いただいて、書かせていただきました!

​ 雑談の中で「青春したい、青春いいよね」とお話していたので高校生くらいの甘酸っぱい感じになるように心がけてみました……。

男の子「ど、どうしたの? 急に屋上へ来いだなんて……」

女の子「……あんた、最近はずいぶんと楽しそうね?」

 

男の子「えっ、そ、そうかな」

 

女の子「美術部とか入っちゃって、可愛い子に囲まれてさぞ楽しいでしょうね」

 

男の子「な、なんか怒ってる……? 僕、何かしちゃったならごめん……」

 

女の子「……なんで勝手に部活とか決めたわけ?」

 

男の子「えっ」

 

女の子「なんで私に相談もなしに勝手に部活を決めたのって聞いてるの! 中学の頃なんてずっと帰宅部で、美術の授業だって苦手だっ

たくせに!」

 

男の子「そ、それは……」

 

女の子「ふぅん、言いにくい理由なんだ? どうせ女の子ばっかりの部活を見つけたからチヤホヤされようと思って選んだとかなんでしょ」

 

男の子「ち、ちがうよ!」

 

女の子「じゃあなんでか言ってなさいよ!」

 

男の子「ほ、他にも友達作んなきゃって思ったからだよ……いつまでも幼馴染だからってだけの理由で、キミに相手してもらってたら、キミの邪魔になっちゃうと思ったから」

 

女の子「……なにそれ、私のせいってこと?」

 

男の子「そ、そうじゃないよ! その、キミのお友達はみんな明るくて元気でしょ? 僕は、その……みんなでカラオケ行ったりとか、そういうのって苦手だから……僕が友達居ないからってキミを独り占めしてたら悪いなって思って……」

 

女の子「……それで? 部活入ったら友達出来たわけ?」

 

男の子「う、うん! そうなんだよ! 中学生の時にね、油絵の全国大会で金賞を取った子とか居てね、色々教わってるんだ。彫刻が好きな子もいるんだよ! 歯医者さんで使う石こうでね、シャチを彫ったりしててすごいんだ! 僕はまだスケッチとか、たくさん描いてみる練習をしている途中だけど……先生にもセンスがある、夏のコンクールではきっと良い成績が残せるって言われて、楽しいよ!」

 

女の子「私は全然楽しくないっ!」

 

男の子「あ、ぅ……ご、ごめん……」

 

女の子「映画見に行ったり買い物行ったり、放課後は一緒に帰るって約束したくせに! 私との約束なんてどうでもいいわけ!?」

 

男の子「そ、そんな約束したっけ……?」

 

女の子「したわよ! 小学生になった時にした!」

 

男の子「し、小学生になった時の話!?」

 

女の子「そうよ! あんたが学校行きたくないって泣いて、全然家の前から動こうとしないからから約束してあげたんじゃない!」

 

男の子「そ、そんな前の話覚えてないよぉ」

 

女の子「私は覚えてるの! あんたが見たいって言ってたアメコミの映画だって新しいの始まってるし、あんたが欲しいって言ってた恐竜のロボットみたいなオモチャも新しいやつ出てたし、帰り道に新しい小物屋さんだって出来てたのに……部活だから、とか言って、私と全然話さなくなっちゃうし……たまに教室で見かけたって、私以外のやつと楽しそうにしてるし……」

 

男の子「ご、ごめん……だって、僕なんかより、もっとお友達とお出かけしたほうがキミも楽しいと思って……」

 

女の子「友達と行った方が楽しかったらあんたと二人で出かけたりしてない!」

 

男の子「は、はいっ! ご、ごめんなさい!」

 

女の子「……許さない」

 

男の子「あ、ぅ……どうしたら、許してくれる……?」

 

女の子「予定、空けておいて」

 

男の子「えと、いつ空けておけばいい……?」

 

女の子「明日」

 

男の子「う、うん。じゃあ明日、お出かけしようね」

 

女の子「あとあさって」

 

男の子「わ、わかった。あさっても空けておくね」

 

女の子「あと夏休みと秋の連休と冬休みとお正月と来年の春休みと来年の夏休みと来年の冬休みとずーーーっと先まで全部空けといて!」

 

男の子「えっ、えぇっ」

 

女の子「……そんで、彼女にしてくれないと許さない」

 

男の子「えっ……えぇっ、それってどういう意味……?」

 

女の子「あんたの彼女にしてくれないと許さないって言ってんの!」

 

男の子「そ、そんなの、だって、僕……」

 

女の子「……イヤなわけ!?」

 

男の子「い、イヤじゃない! イヤじゃないよ! でも、僕は、キミとか、キミのお友達みたいに色々出来るわけじゃないし……なんにもできないし……かっこよくないし……」

 

女の子「……いい」

 

男の子「ぶ、部活だって始めたばっかりで、たくさん勉強しなくちゃいけないことがあるから……だから、もし夏のコンクールで良い成績が残せたら、胸を張ってキミとまた遊びたいな、とか……思ってて……いろいろ考えてて……だから、その……」

 

女の子「……返事は!?」

 

男の子「はっ、はい! よろしくお願いしますっ!」

 

女の子「……で?」

 

男の子「えっ、な、なに?」

 

女の子「私のこと、どう思ってるか聞いてない」

 

男の子「ぼ、僕が言うの!?」

 

女の子「私のこと! どう思ってるか聞いてないって言ってるの!」

男の子「す、好きです! 大好きです! 運動も勉強も出来て、友達もたくさん居て、元気いっぱいで、自信があって、曲がったことが嫌いで、悪い人のこと許さなくって、ヒーローみたいにかっこよくって……僕のこと、いつも引っ張ってくれて……やさしくて……か、かわ、可愛くって……好き、です」

女の子「……ちょっとだけ許した」

 

男の子「あ、あの、それで、僕のことどう思ってるかとかは……」

 

女の子「……聞きたいわけ?」

 

男の子「う、うん、ちょっと……恥ずかしいけど……」

 

女の子「……好きよ。大好き。運動も勉強もできなくて、いっつもおどおどしてるくせに、すっごい頑張り屋さんで、何回出来なくたって諦めないところがかっこいい。悪いやつがいたってどうしたの、何かあったのって話聞いたりして、なぐさめて、八つ当たりされたって元気になれてよかったねって笑う優しいとこが好き。私がワガママ言ったって、楽しいねって笑うところが可愛くて好き」

 

男の子「う、うぅ……やっぱり恥ずかしいね、こうやって、面と向かって言われると……」

 

女の子「でも、私のこと全然わかってないところは嫌い」

 

男の子「あぅ、ご、ごめん……」

 

女の子「私が一番好きな人は誰?」

 

男の子「え、えと……い、言わなきゃだめ?」

 

女の子「ダメに決まってるでしょ」

 

男の子「えと、ぼ、僕、です」

 

女の子「分かってるじゃない。じゃあ、あんたが一番好きな人は?」

 

男の子「あ、あなた、です」

 

女の子「……本当に?」

 

男の子「あ、ぅ……ほ、ホントだよ。部活だって、全部……その、キミともっと……自信をもって仲良くなりたかったからだもん……」

 

女の子「……じゃあ、許してあげる」

 

男の子「う、うぅ……一生分の恥をかいた気がするよ……」

 

女の子「じゃあ、帰りましょ」

 

男の子「う、うん。……あっ、でも部室に顔出さないと……」

 

女の子「いいわ、私も付いて行ってあげる」

 

男の子「えっ、えぇ!? 来るの、部室に!?」

 

女の子「えぇ、もちろん。部のみんなにも教えてあげなくちゃいけないじゃない? あんたの一番好きな人は私だって」

 

男の子「や、やめてよぉー!」

 

おしまい

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